交通事故の歯科治療(2016-05)
交通事故などで負傷した場合の歯科治療は、原則として加害者が医療費を支払うことになり、健康保険は使いません。
自動車には自動車損害賠償責任保険への加入が義務付けられています。運転する人が任意の保険に加入している場合も多く、通常、医療費は保険金で支払われます。問題は、保険会社がかかった医療費すべてを支払うとは限らないことです。
審美性を求めて保険外の治療を望む患者さんも少なくありません。私たちが患者さんの希望に沿った治療をしたいと思っても、保険会社は内規で上限を設けたり、査定(根切り)をしようとします。また、過失の状況によっては、医療費の全額が賠償されない場合もあります。
そこで、事故後の応急処置(自費)が済んだらすみやかに被害者、加害者、歯科医師が事前に話し合い、さらに保険会社を交えてそれぞれの立場をはっきりさせ、責任範囲などを具体的に取り決めて安心して治療が進められるようにすることが大切です。なお、事情によっては必要な届出をして健康保険を使う場合もあります。