『三角食べ』のススメ(2016-02)
近年、食育の分野で推奨されているのが、ごはん・おかず・汁物を順番に少しずつ食べる「三角食べ」。箸が三角形の軌道を描くことからそう呼ばれるそうです。
1970年代に学校給食の指導で始まったとも言われていますが、日本人は昔から自然とそのように食べてきたのではないでしょうか。
では、「三角食べ」にはどんな意味があるのでしょうか。
一つは、口の中で料理を混ぜ合わせることで、味付けの調整ができるそうです(“口中調味”と呼ばれます)。味付けされたおかずとご飯が口の中で混ざり合うことで、どちらもおいしく感じられるようになり、さらに、味噌汁の味噌味とだしの風味が加われば、複雑さを増します。丼物やハンバーガー、カレーなどは“口中調味”をするための料理と言えそうです。
それに引き換え、味噌汁だけ、おかずだけ、ごはんだけを食べるといった「ばっかり食べ」は、味のハーモニーが楽しめないだけではなく、濃い味付けのおかずを美味しく食べられません。
二つ目に、時間をかけてしっかり噛むことにより、消化・吸収の働きを助けるといわれています。
三つ目はおかずやご飯などの順繰りに食べる「三角食べ」は、栄養を摂取する上でも理にかなっているそうです。食事を全部食べきれなくても、料理を少しずつ口にすることで栄養が偏ることを避けられるというわけです。
近年、独りで食事をする子どもの“孤食”が増えていると言われます。子どもたちには、家族団らんの食卓と共に「三角食べ」といった、食のあり方も伝えていきたいものです。