胃に届く「うま味」(2015-09)
皆様は「うま味」をご存じでしょうか?
この「うま味」を発見したのは日本人科学者です。
今から100年前、東京帝国大学(現東京大学)の池田 菊苗教授は、「甘酸塩苦」の
4つの基本味とは明らかに異なる味があると考えました。
昆布の研究からたんぱく質を構成する20種類のアミノ酸の中の一つグルタミン酸を発見し、「うま味」と名付けました。
2000年には舌の味(み)蕾(らい)(食べ物の味を感じる小さな器官)にある感覚細胞にグルタミン酸受容体が発見され、現在では「うま味」は「umami」として世界中に認められています。
この「うま味」という基本味は胃でも認識されるそうです。
実験では、胃もたれを起こしやすい高タンパク流動食にグルタミン酸ナトリウムを添加すると、胃からの排出が改善され、腹部の膨満感などの食後感覚が改善したそうです。
このように、「うま味」は舌の感覚器でキャッチされ、食物も摂食を促すばかりではなく、消化器官にも刺激を与えて食物の消化・吸収にまで関係しているのです。
美味いだけではない「うま味」の力に驚かされます。